心豊かな暮らし方を教えてくれる人~ソール・ライター~
こんにちは、よしみです。
心豊かな暮らしってどのようなものでしょうか?私もわかっているようできちんとは理解できていませんでした。
それを解決してくれたのがソール・ライターでした。
この間、NHKの「日曜美術館」でソール・ライターという写真家を特集していました。
私は、毎回「日曜美術館」を見ているわけではなく、たまたま見たのですが、とても心を惹かれる作品を撮る方でした。
そして、とても心豊かな暮らし方を生涯続けた人でした。
本があるのは楽しかった。
絵を見るのも楽しかった。
誰かが一緒にいるのも楽しかった。互いに大切と思える誰かが。
そういうことのほうが私には成功より大事だった。
出典 2020年 小学館 「永遠のソール・ライター」p155
そんな言葉を残しています。
人によって生きていく中で大切なものは違うかのしれませんが、地位や名誉やお金だけではない人生のとても大切なことを彼の写真と人生を通して教えてくれます。
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1、ソール・ライターとは
ソール・ライターは1923年から2013年に生きたアメリカの写真家です。
23歳の時に画家を目指してニューヨークに移り住みますが、次第に趣味であった写真にのめりこんでいきます。
彼は約20年ELLE,ヴォーグなど一流ファッション誌でファッションカメラマンとして働きました。
しかし、次第に自由な表現ができなくなって来たので、ファッション誌のカメラマンをやめました。
かつて、『Harper's Bazaar』での1年より
ボナールの1枚のデッサンの方が、
私にとってはより意味がある。
と雑誌編集者に言ったことがある。
彼女の表情は凍りつき、完全に軽蔑の眼差しで私を見つめていた。
出典 2017年 青幻舎 「ソールライターのすべて」p24
そして、独自の目線で住まいの近くでストリートスナップを亡くなるまで撮り続けました。
83歳で作品集「Early Collar」を発表。1950年代のカラーフィルムが実用化されたばかりのころで写真は白黒が主流の中で、彼はカラーで自宅の近所の普通の街並みを写真に収めました。
私は単純なものの美を信じている。
もっともつまらないと思われているものに、
興味深いものが
潜んでいると信じているのだ。
出典 2020年 小学館 「永遠のソール・ライター」p31
2012年には、「写真家ソール・ライター急がない人生で見つけた13のこと」という長編ドキュメンタリー映画が製作されました。ユーモアを忘れない、謙虚な姿が映し出されています。
3、写真の特徴
①ガラスに映りこんだ人や風景を撮ったり、ガラスについた雨粒や水滴越しに被写体を映します。
②シンプルな色味の中にビビットな色を入れポイントカラーを絵画を描くように色を使います。
誰もがモノクロ(写真)のみが重要であると
信じていることが不思議でたまらない
美術の歴史は色彩の歴史だ
洞窟の壁画にさえ色彩が施されているというのに…。
出典 2017年 青幻舎 「ソールライターのすべて」p180
③3分の1構図 画面を縦か横に三分割にしその一か所に被写体を配置する方法です。画面の隅に目を向けさせます。
2、魅力
私がソール・ライターを知ったのはこの番組を見てからです。
アートに興味はあるのですが、写真についてはあまり見たことがなかったので写真がこんなに魅力的なんだということを知りませんでした。
何も写ってないように見えて
片隅で謎がおきている写真だ
出典 2020年 小学館 「永遠のソール・ライター」p39
ソール・ライターは人や風景といったジャンルではなく、世界に隠れている美を探し出す写真とでもいうのでしょうか、ただありのままを撮るのではなく、絵を描くように写真に美を作り出すような写真を撮ります。
日常が非日常であるかのような魅力を作り出しています。
毎日の見慣れた日常で、見えなくなっているまたは見ようともしていない、美しい世界がある、ということを教えてくれているような気がします。
忙しい日常の中で忘れてしまっている子供のころの純粋な世界に対する小さな喜びや好奇心の中に生きていた人なのでしょう。
それをどこかで発表するためでもなく、ただ自分のために50年以上撮っていました。
多くのアーティストは誰かに見てほしいとか、認められて有名になりたいとかそののような願望があったりします。
お金や名誉ではなく、自分のためにいつもの日常の中にある美しいもの、興味を持てるものを探す、やり続けることこそが本当の意味の自由であり、豊かさなんだと教えられました。
3、作品は写真だけではない
はじめは写真家からスタートした人ではなく、画家になるためのお金を稼ぐために写真を始めた方なので、絵画の作品もあります。
それがやはり色彩がとても独特できれいなんです。
4、まとめ
いつもの毎日の中に潜む大切なものを探し続けたソール・ライター
肝心なのは
何かを手に入れることじゃなくて
何を捨てるかなんだ。
出典 2017年 青幻舎 「ソールライターのすべて」p56
考えさせられる言葉です。
写真に伝えたいことや自己主張が入ることはなく、何にも執着することのない生き方。
私たちが普段この世界で忘れてきている自分がありのまま自分らしく生きるというとても大切なことを通して示してくれています。それが写真にも自然と表れていて見ていてとても心地よいのです。
ソール・ライター展は東京・渋谷のBnnkamuraザ・ミュージアムで3月8日まで行われています。その後4月から京都の美術館「えき」KYOUTOで開催されます。
実際に本物を見て感じていただきたいです。